〔問題〕
区分所有建物及びその敷地の鑑定評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
⑴ 区分所有建物及びその敷地で、専有部分を区分所有者が使用しているものについての鑑定評価額は、比準価格を標準として、積算価格及び収益価格を比較考量して決定するものとする。
⑵ 区分所有建物及びその敷地で、専有部分が賃貸されているものについての鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格及び比準価格を関連付け、積算価格を比較考量して決定するものとする。
⑶ 区分所有建物及びその敷地の確認に当たっては、専有部分に係る建物の附属物の範囲、共用部分の範囲及び共有持分、一部の区分所有者のみに属する共用部分、管理費及び修繕積立金の額等について留意すべきである。
⑷ 積算価格は、区分所有建物の対象となっている一棟の建物及びその敷地の積算価格を求め、当該積算価格に配分率を乗ずることにより求めるが、この場合の配分率は、共有部分の共有持分割合である。
⑸ 区分所有建物が存する一棟の建物及びその敷地に係る固有の個別的要因としては、日照、眺望及び景観の良否、敷地に関する権利の態様及び持分等が挙げられる。
解答
解説
この問題は、各論第1章第2節「建物及びその敷地」から問われている問題です。
(1):誤
区分所有建物及びその敷地で、専有部分を区分所有者が使用しているものについての鑑定評価額は、比準価格を標準として、積算価格及び収益価格を比較考量して決定するものとする。
「区分所有建物及びその敷地の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意区分所有建物及びその敷地で、専有部分を区分所有者が使用しているものについての鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定するものとする【707】
従って、「比較考量して」とする本肢は誤りです。
(2):誤
区分所有建物及びその敷地で、専有部分が賃貸されているものについての鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格及び比準価格を関連付け、積算価格を比較考量して決定するものとする。
「区分所有建物及びその敷地の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意区分所有建物及びその敷地で、専有部分が賃貸されているものについての鑑定評価額は、実際実質賃料(売主が既に受領した一時金のうち売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額を含まないものとする。)に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定するものとする【710】
従って、「比準価格を関連づけ」とする本肢は誤りです。
(3):正
区分所有建物及びその敷地の確認に当たっては、専有部分に係る建物の附属物の範囲、共用部分の範囲及び共有持分、一部の区分所有者のみに属する共用部分、管理費及び修繕積立金の額等について留意すべきである。
「区分所有建物及びその敷地の確認で留意すべき事項」について述べられた選択肢であり、基準には「専有部分に係る建物の附属物の範囲【2493】」、「共用部分の範囲及び共有持分【2495】」、「一部の区分所有者のみに属する共用部分【2495】」、「管理費及び修繕積立金の額等【2499】」が記載されています。
これらは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(4):誤
積算価格は、区分所有建物の対象となっている一棟の建物及びその敷地の積算価格を求め、当該積算価格に配分率を乗ずることにより求めるが、この場合の配分率は、共有部分の共有持分割合である。
「区分所有建物の積算価格の求め方」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意積算価格は、区分所有建物の対象となっている一棟の建物及びその敷地の積算価格を求め、当該積算価格に当該一棟の建物の各階層別及び同一階層内の位置別の効用比により求めた配分率を乗ずることにより求めるものとする【708】
従って、「共有部分の共有持ち分割合」とする本肢は誤りです。
(5):誤
区分所有建物が存する一棟の建物及びその敷地に係る固有の個別的要因としては、日照、眺望及び景観の良否、敷地に関する権利の態様及び持分等が挙げられる。
本肢は、「区分所有建物の個別的要因」について述べられた選択肢です。
「日照、眺望及び景観の良否【704】」、「敷地に関する権利の態様及び持分」は、一棟の建物及びその敷地に係る個別的要因ではなく、専有部分に係る個別的要因として例示されています。
従って、「一棟の建物及びその敷地の個別的要因」とする本肢は誤りです。