〔問題〕
建物及びその敷地に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 借地権付建物の鑑定評価では、積算価格、比準価格及び収益価格を試算するが、これは、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地のいずれにあっても同様である。
ロ 貸家及びその敷地の鑑定評価に当たっては、契約締結の経緯、経過した借家期間及び残存期間並びに建物の残存耐用年数を勘案する必要がある。
ハ 区分所有建物及びその敷地の確認に当たっては、一部の区分所有者のみに属する共用部分までは確認する必要はない。
ニ 建物の用途を変更し、又は建物の構造等を改造して使用することが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、用途変更等を行った後の経済価値の上昇の程度、必要とされる改造費等を考慮して決定するものとする。
ホ 自用の建物及びその敷地と貸家及びその敷地の典型的市場参加者は異なる場合もあるが、いずれの鑑定評価額も積算価格、比準価格及び収益価格を関連付けて決定するものとする。
(1) イとニ
(2) イとホ
(3) ロとハ
(4) ロとニ
(5) ハとホ
解答
解説
この問題は、各論第1章第2節「建物及びその敷地」から問われている問題です。
イ：正
借地権付建物の鑑定評価では、積算価格、比準価格及び収益価格を試算するが、これは、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地のいずれにあっても同様である。
本肢は、「建物及びその敷地の鑑定評価」について述べられた選択肢です。
自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、借地権付建物の鑑定評価においては、基本的に積算価格、比準価格及び収益価格を求めることとなります。
従って、本肢の内容は正しいです。
ロ：正
貸家及びその敷地の鑑定評価に当たっては、契約締結の経緯、経過した借家期間及び残存期間並びに建物の残存耐用年数を勘案する必要がある。
「総合的勘案事項」について述べられた選択肢であり、基準には「契約締結の経緯、経過した借家期間及び残存期間並びに建物の残存耐用年数【685】」が記載されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ：誤
区分所有建物及びその敷地の確認に当たっては、一部の区分所有者のみに属する共用部分までは確認する必要はない。
「区分所有建物及びその敷地の確認すべき事項」について述べられた選択肢であり、留意事項には「一部の区分所有者のみに属する共用部分【2495】」が例示されています。
従って、「確認する必要はない」とする本肢は誤りです。
二：正
建物の用途を変更し、又は建物の構造等を改造して使用することが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、用途変更等を行った後の経済価値の上昇の程度、必要とされる改造費等を考慮して決定するものとする。
「用途変更・構造改造が最有効使用の場合の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意建物の用途を変更し、又は建物の構造等を改造して使用することが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、用途変更等を行った後の経済価値の上昇の程度、必要とされる改造費等を考慮して決定するものとする【681】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ：誤
自用の建物及びその敷地と貸家及びその敷地の典型的市場参加者は異なる場合もあるが、いずれの鑑定評価額も積算価格、比準価格及び収益価格を関連付けて決定するものとする。
本肢は、「自用の建物及びその敷地と貸家及びその敷地の鑑定評価」について述べられた選択肢です。
「自用の建物及びその敷地の鑑定評価」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、積算価格、比準価格及び収益価格を関連づけて決定するものとする【680】
一方、「貸家及びその敷地の鑑定評価」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意貸家及びその敷地の鑑定評価額は、実際実質賃料（売主が既に受領した一時金のうち売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額を含まないものとする。）に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定するものとする【684】
従って、「いずれも積算価格、比準価格及び収益価格を関連付けて決定する」としている本肢は誤りです。
