グラフの「傾き」とは? 一次関数 y=ax+b をやさしく復習

準備編 | S0-04 傾きとは何か のアイキャッチ 準備編(数学とグラフ)

Q.グラフの「傾き」って何? 一次関数、正直苦手です…

A.「横に1すすむと、縦がどれだけ上がる(下がる)か」を表す数字です。一次関数 $y=ax+b$ の $a$ がそれにあたります。

⭐ 重要度:S / 出題頻度:B

📘 テキスト対応:第1章 1-1、第12章、第15章(直線のグラフ全般)

📗 前提記事S0-01「グラフの読み方①」

⏱ 読了目安:6分

傾きとは何か

直線の傾きとは、「横に1すすんだとき、縦がどれだけ動くか」を表す数です。「一次関数」という呼び方はかたく聞こえますが、中身はこれだけです。ここでは、必要な分だけ、やさしく復習します。

身近な例で考える

坂道を思い浮かべてください。横に1メートル進むと0.2メートル上がる坂と、横に1メートル進むと0.5メートル上がる坂。どちらが急でしょうか。もちろん後者です。

この「横に1すすむと、縦にどれだけ上がるか」という数字が、そのまま傾きです。数字が大きいほど急、小さいほどゆるやかになります。

図で見る

右上がりの直線。横に1すすむと縦にaだけ上がる。この上がり幅aが傾き。 y x O y = ax + b 横に1すすむと 縦に a 上がる
図 横に1すすんだときに縦がどれだけ上がるか(=a)が「傾き」

一次関数 y = ax + b を分解する

直線は、$y=ax+b$ という式で表せます。文字が2つあってややこしく見えますが、意味はかんたんです。

  • $a$ … 傾き。横に1すすむと、縦に $a$ だけ上がる($a$ がマイナスなら下がる=右下がり)
  • $b$ … 切片(せっぺん)。$x=0$ のときの $y$ の値。いわば「スタートの高さ」

たとえば $y=2x+3$ なら、スタートの高さが3で、横に1すすむごとに2ずつ上がっていく直線、という意味になります。

式にすると

傾きは、次の割り算で求められます。

$$傾き = \frac{縦の変化}{横の変化}$$

「縦がどれだけ変わったかを、横がどれだけ変わったかで割る」と読みます。たとえば横に4すすむ間に縦が8上がったなら、傾きは $8 \div 4 = 2$ です。

経済学ではこう使う

経済学では、傾きが「反応の強さ」を表します。たとえば「値段が下がると、どれだけ買う量が増えるか」「所得が増えると、どれだけ消費が増えるか」。傾きが急なら「横が少し動いただけで縦が大きく動く」、ゆるやかならその逆、と読めます。
ただし注意が必要です。傾きの数字は、どちらを縦軸にするか・どんな単位で測るかで変わります。たとえば需要曲線は縦が価格・横が数量なので、線がゆるやかなほど「値段の変化に対して数量がよく動く」ことになり、直感と逆に見えます。
そのため経済学では、反応の大きさを比べるときは傾きそのものではなく、単位に左右されない弾力性という指標を使います。

※ この説明が成り立つ前提

ここまでの説明は、話を分かりやすくするために次のような単純化をしています。細かい条件なので、はじめのうちは読み飛ばしても構いません。

  • 「傾き」は横に1進んだときの縦の変化量です。軸の単位(円・個・年など)を変えると、傾きの数値も変わります。
  • 直線ならどこで測っても傾きは同じです。曲線では場所ごとに変わります(S0-08で扱います)。

○×で確認

ここまでの内容を、○×で確かめます。5問すべてに答えてから、次の解説へ進んでください。

問1 一次関数 y=ax+b の b は、横に1すすんだときに縦がどれだけ上がるかを表す数である。

問2 傾きは、縦の変化を横の変化で割ることで求められる。

問3 右下がりの直線では、傾きはプラスの数になる。

問4 y=2x+3 という直線は、x=0 のとき y が3で、横に1すすむごとに縦が2ずつ上がる。

問5 傾きの数字は、どちらを縦軸にとっても、どんな単位で測っても、いつも同じ値になる。

○×の解説

問1 一次関数 y=ax+b の b は、横に1すすんだときに縦がどれだけ上がるかを表す数である。

答え:×

横に1すすんだときの上がり幅を表すのは a(傾き)です。b は 切片で、x=0 のときの y の値、いわば「スタートの高さ」を表します。

問2 傾きは、縦の変化を横の変化で割ることで求められる。

答え:○

傾きは「縦の変化 ÷ 横の変化」で求めます。たとえば横に4すすむ間に縦が8上がったなら、8÷4=2 が傾きです。

問3 右下がりの直線では、傾きはプラスの数になる。

答え:×

右下がりの直線は、横にすすむと縦が下がるので、傾きはマイナスです。傾きがプラスになるのは右上がりの直線です。

問4 y=2x+3 という直線は、x=0 のとき y が3で、横に1すすむごとに縦が2ずつ上がる。

答え:○

b=3 がスタートの高さ、a=2 が上がり方を表します。式の2つの文字を「切片」と「傾き」に分けて読めば、直線の姿がそのまま見えてきます。

問5 傾きの数字は、どちらを縦軸にとっても、どんな単位で測っても、いつも同じ値になる。

答え:×

傾きの数字は、縦軸の取り方や測る単位によって変わってしまいます。そのため経済学では、反応の大きさを比べるときに単位に左右されない弾力性という指標を使います。


次に読むS0-07「『限界(marginal)』とは」

この記事に誤りや分かりにくい点があれば、お問い合わせフォームからお知らせください。どの記事についてのご連絡かは、フォームに自動で入力されます。