永久に続く収入の現在価値が「R ÷ i」になる理由

準備編 | S0-13 永久収入の現在価値 のアイキャッチ 準備編(数学とグラフ)

Q.毎年ずっともらえるお金は、今の値打ちで合計いくら?

A.毎年 R 円が永久に入るなら、その現在価値は「R ÷ 利子率」です。永久に足すのに、答えは簡単な割り算になります。

⭐ 重要度:S / 出題頻度:S

📘 テキスト対応:第5章 5-3(地代)、第10章 10-3(地価)

📗 前提記事S0-12「割引現在価値」

⏱ 読了目安:6分

まず、どこでつまずくのか

「毎年ずっともらえる」と聞くと、合計は無限に大きくなりそうな気がします。ところが実際には、ある有限の金額に落ち着きます。将来のお金ほど、今の値打ちに直すと小さくなる(S0-12)からです。

身近な例で考える

「毎年1万円がずっともらえる権利」があるとします。利子率が5%なら、この権利の今の値打ちは、$1 \div 0.05 = 20$ 万円です。つまり、20万円を年5%で運用すれば毎年1万円の利子が生まれるので、両者は同じ値打ち、というわけです。

なぜ「R ÷ 利子率」になるのか

毎年の R 円を、それぞれ今の値打ちに直して足し合わせます。1年後の分、2年後の分…と足していくと、遠い将来ほど小さくなるので、無限に足しても合計は有限の値に収束します。その合計が、ちょうど「R ÷ 利子率」になります。

$$現在価値 = \frac{R}{i}$$

「毎年の収入 R を、利子率 i で割る」と読みます。

表で確かめる

毎年の収入 R 利子率 i 現在価値 R÷i
1万円 2% 50万円
1万円 5% 20万円
1万円 10% 10万円

利子率が低いほど、同じ収入でも現在価値は大きくなります。

経済学ではこう使う

土地は「毎年の地代がずっと入ってくる資産」とみなせます。だから地価は、おおよそ「地代 ÷ 利子率」で表せます。さらに地代が毎年 $g$ の率で伸びるなら、地価は「地代 ÷(利子率 − 成長率)」という形になります。これがのちに出てくる地価の公式の正体です。

※ この説明が成り立つ前提

ここまでの説明は、話を分かりやすくするために次のような単純化をしています。細かい条件なので、はじめのうちは読み飛ばしても構いません。

  • P=R÷i が成り立つのは、毎年おなじ額Rがずっと入り、割引率iが一定で、iがプラスの場合です。
  • P=R÷(i−g) は、収益が毎年一定の率gで伸びていく場合の形で、iがgより大きいことが必要です。
  • 現実の土地には税金・管理費・空室などがあるため、これは単純化した目安です。

○×で確認

ここまでの内容を、○×で確かめます。5問すべてに答えてから、次の解説へ進んでください。

問1 毎年 R 円が永久にもらえる権利は、無限に足し合わせるので、現在価値も無限に大きくなる。

問2 毎年1万円が永久に入る権利は、利子率が5%なら現在価値は20万円である。

問3 利子率が高いほど、同じ収入から計算される現在価値は大きくなる。

問4 土地は毎年の地代がずっと入ってくる資産とみなせるので、地価はおおよそ「地代 ÷ 利子率」で表せる。

問5 地代が毎年 g の率で伸びていく場合、地価は「地代 ÷(利子率 + 成長率)」で表される。

○×の解説

問1 毎年 R 円が永久にもらえる権利は、無限に足し合わせるので、現在価値も無限に大きくなる。

答え:×

将来のお金ほど今の値打ちに直すと小さくなるため、無限に足しても合計は有限の値に収束します。その合計がちょうど R ÷ 利子率 になります。

問2 毎年1万円が永久に入る権利は、利子率が5%なら現在価値は20万円である。

答え:○

1万円 ÷ 0.05 = 20万円と計算できます。20万円を年5%で運用すれば毎年1万円の利子が生まれるので、両者は同じ値打ちだと分かります。

問3 利子率が高いほど、同じ収入から計算される現在価値は大きくなる。

答え:×

向きが逆です。R ÷ i の i が大きくなれば答えは小さくなるので、利子率が低いほど現在価値は大きくなります。同じ地代でも利子率が低い時期ほど地価は高くなります。

問4 土地は毎年の地代がずっと入ってくる資産とみなせるので、地価はおおよそ「地代 ÷ 利子率」で表せる。

答え:○

永久に続く収入の現在価値が R ÷ i になる、という考え方をそのまま土地にあてはめた形です。ただし現実には税金や管理費、空室があるため、単純化した目安になります。

問5 地代が毎年 g の率で伸びていく場合、地価は「地代 ÷(利子率 + 成長率)」で表される。

答え:×

正しくは「地代 ÷(利子率 − 成長率)」です。伸びる分だけ値打ちが増えるので、割る数は小さくなり、地価は高くなります。この形は利子率が成長率より大きいことが前提です。


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