Q.毎年ずっともらえるお金は、今の値打ちで合計いくら?
A.毎年 R 円が永久に入るなら、その現在価値は「R ÷ 利子率」です。永久に足すのに、答えは簡単な割り算になります。
まず、どこでつまずくのか
「毎年ずっともらえる」と聞くと、合計は無限に大きくなりそうな気がします。ところが実際には、ある有限の金額に落ち着きます。将来のお金ほど、今の値打ちに直すと小さくなる(S0-12)からです。
身近な例で考える
「毎年1万円がずっともらえる権利」があるとします。利子率が5%なら、この権利の今の値打ちは、$1 \div 0.05 = 20$ 万円です。つまり、20万円を年5%で運用すれば毎年1万円の利子が生まれるので、両者は同じ値打ち、というわけです。
なぜ「R ÷ 利子率」になるのか
毎年の R 円を、それぞれ今の値打ちに直して足し合わせます。1年後の分、2年後の分…と足していくと、遠い将来ほど小さくなるので、無限に足しても合計は有限の値に収束します。その合計が、ちょうど「R ÷ 利子率」になります。
「毎年の収入 R を、利子率 i で割る」と読みます。
表で確かめる
| 毎年の収入 R | 利子率 i | 現在価値 R÷i |
|---|---|---|
| 1万円 | 2% | 50万円 |
| 1万円 | 5% | 20万円 |
| 1万円 | 10% | 10万円 |
利子率が低いほど、同じ収入でも現在価値は大きくなります。
経済学ではこう使う
土地は「毎年の地代がずっと入ってくる資産」とみなせます。だから地価は、おおよそ「地代 ÷ 利子率」で表せます。さらに地代が毎年 $g$ の率で伸びるなら、地価は「地代 ÷(利子率 − 成長率)」という形になります。これがのちに出てくる地価の公式の正体です。
※ この説明が成り立つ前提
ここまでの説明は、話を分かりやすくするために次のような単純化をしています。細かい条件なので、はじめのうちは読み飛ばしても構いません。
- P=R÷i が成り立つのは、毎年おなじ額Rがずっと入り、割引率iが一定で、iがプラスの場合です。
- P=R÷(i−g) は、収益が毎年一定の率gで伸びていく場合の形で、iがgより大きいことが必要です。
- 現実の土地には税金・管理費・空室などがあるため、これは単純化した目安です。
○×で確認
ここまでの内容を、○×で確かめます。5問すべてに答えてから、次の解説へ進んでください。
問1 毎年 R 円が永久にもらえる権利は、無限に足し合わせるので、現在価値も無限に大きくなる。
問2 毎年1万円が永久に入る権利は、利子率が5%なら現在価値は20万円である。
問3 利子率が高いほど、同じ収入から計算される現在価値は大きくなる。
問4 土地は毎年の地代がずっと入ってくる資産とみなせるので、地価はおおよそ「地代 ÷ 利子率」で表せる。
問5 地代が毎年 g の率で伸びていく場合、地価は「地代 ÷(利子率 + 成長率)」で表される。
○×の解説
問1 毎年 R 円が永久にもらえる権利は、無限に足し合わせるので、現在価値も無限に大きくなる。
答え:×
将来のお金ほど今の値打ちに直すと小さくなるため、無限に足しても合計は有限の値に収束します。その合計がちょうど R ÷ 利子率 になります。
問2 毎年1万円が永久に入る権利は、利子率が5%なら現在価値は20万円である。
答え:○
1万円 ÷ 0.05 = 20万円と計算できます。20万円を年5%で運用すれば毎年1万円の利子が生まれるので、両者は同じ値打ちだと分かります。
問3 利子率が高いほど、同じ収入から計算される現在価値は大きくなる。
答え:×
向きが逆です。R ÷ i の i が大きくなれば答えは小さくなるので、利子率が低いほど現在価値は大きくなります。同じ地代でも利子率が低い時期ほど地価は高くなります。
問4 土地は毎年の地代がずっと入ってくる資産とみなせるので、地価はおおよそ「地代 ÷ 利子率」で表せる。
答え:○
永久に続く収入の現在価値が R ÷ i になる、という考え方をそのまま土地にあてはめた形です。ただし現実には税金や管理費、空室があるため、単純化した目安になります。
問5 地代が毎年 g の率で伸びていく場合、地価は「地代 ÷(利子率 + 成長率)」で表される。
答え:×
正しくは「地代 ÷(利子率 − 成長率)」です。伸びる分だけ値打ちが増えるので、割る数は小さくなり、地価は高くなります。この形は利子率が成長率より大きいことが前提です。
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