Q.税金は、法律で「納める人」が本当に負担しているのですか?
A.いいえ。実際の負担は弾力性で決まります。値段が変わっても量が変わりにくい(動きにくい)側ほど、多く負担します。納税者=負担者とは限りません。
身近な例で考える
お店で払う消費税は、レシート上は「客が払う」形です。でも本当に客だけが負担しているのでしょうか。実は、税の負担は買い手と売り手で分け合っています。その割合を決めるのが弾力性です。
税をかけると供給線が上へ動く
商品1個に税をかけると、売り手は「税のぶん高く売らないと元が取れない」ので、供給の線が税のぶんだけ上に移動します。すると取引価格は上がり、取引量は減ります。
図で見る:買い手と売り手で分け合う
税がかかると、買い手が実際に払う価格(買い手価格)は上がり、売り手が手にする価格(売り手価格)は下がります。この2つの差が税額です。買い手価格の上がったぶんが買い手の負担、売り手価格の下がったぶんが売り手の負担になります。
負担の割合は弾力性で決まる
どちらが多く負担するかは、弾力性(値段の変化への敏感さ)で決まります。
- 動きにくい(弾力性が小さい)側ほど、多く負担する。逃げ場がないからです。
- たとえば需要が動きにくい生活必需品では、税の多くを買い手が負担しがち。
- 逆に買い手がすぐ他に乗りかえられる商品では、売り手が負担をかぶりやすい。
まとめ
「誰が納めるか」と「誰が負担するか」は別物。負担は弾力性で決まり、動きにくい側ほど重い。税の話が出たら、まず「どちらが逃げにくいか」を考えましょう。
※ この説明が成り立つ前提
ここまでの説明は、話を分かりやすくするために次のような単純化をしています。細かい条件なので、はじめのうちは読み飛ばしても構いません。
- ここで描いたのは、売り手に1個あたり一定額の税(従量税)をかけた場合です。買い手側に課税しても、最終的な負担の分かれ方は同じになります。
- 負担の割合は、需要と供給の弾力性のくらべで決まります。図の分かれ方は一つの例です。
○×で確認
ここまでの内容を、○×で確かめます。5問すべてに答えてから、次の解説へ進んでください。
問1 税の実際の負担は、法律上の納税者が誰かではなく、需要と供給の弾力性によって決まる。
問2 商品1個に税をかけると、供給の線は税のぶんだけ下に移動する。
問3 税がかかると、買い手が実際に払う価格は上がり、売り手が手にする価格は下がり、その2つの差が税額になる。
問4 弾力性が大きく、値段の変化に応じて動きやすい側ほど、税を多く負担する。
問5 生活必需品のように需要が動きにくい財では、税の多くを売り手が負担しがちである。
○×の解説
問1 税の実際の負担は、法律上の納税者が誰かではなく、需要と供給の弾力性によって決まる。
答え:○
法律上の納税者と実際の負担者は別物です。負担の割合は弾力性で決まり、値段が変わっても量が変わりにくい側ほど多く負担します。
問2 商品1個に税をかけると、供給の線は税のぶんだけ下に移動する。
答え:×
供給の線は税のぶんだけ上に移動します。売り手は税のぶん高く売らないと元が取れないためで、その結果、取引価格は上がり取引量は減ります。
問3 税がかかると、買い手が実際に払う価格は上がり、売り手が手にする価格は下がり、その2つの差が税額になる。
答え:○
税がかかると買い手価格は上がり、売り手価格は下がります。この2つの価格の差がちょうど税額で、それぞれの変化分が買い手・売り手の負担分になります。
問4 弾力性が大きく、値段の変化に応じて動きやすい側ほど、税を多く負担する。
答え:×
多く負担するのは弾力性が小さい(動きにくい)側です。値段が変わっても行動をあまり変えられず、逃げ場がないからです。
問5 生活必需品のように需要が動きにくい財では、税の多くを売り手が負担しがちである。
答え:×
需要が動きにくい生活必需品では、税の多くを買い手が負担しがちです。買い手は値上がりしても買う量をあまり減らせず、逃げられないからです。
次に読む:S2-05「逆需要関数って何のこと」
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