Q.金利が高い国の通貨で預金すれば得なはず。なのになぜ、その通貨は将来下がると言われるの?
A.どこで運用してももうけが同じになるように為替が調整されるからです(裁定)。高金利の通貨は、その金利差を打ち消すように将来下がる(減価する)と予想される。これが金利平価です。
身近な例で考える
A国の金利は1%、B国は5%。「B国の通貨で預ければ4%も得!」――本当でしょうか。もしそんなうまい話なら、みんながB国通貨に殺到するはず。ところが現実はそう簡単に儲かりません。カギは為替の動きです。
予想ベースで釣り合う
投資家は少しでも得なほうへお金を動かします。だから、「A国で運用」と「B国通貨に替えて運用し、あとで戻す」が、見込みのもうけで釣り合うところまで為替が調整されます。うまい話は、すぐに消えるのです。
ここで一つ注意があります。戻すときの為替はあくまで予想なので、これは「確実にもうかる話が消える」という意味の裁定とは少し違います。将来の為替を先物であらかじめ固定してしまえば、確実なもうけの機会が消えるという本来の裁定の話になります(カバー付き金利平価)。本記事で扱うのは、予想で比べるほう(カバーなし金利平価)です。
金利平価の考え方
釣り合うためには、金利が高い通貨は、その差のぶんだけ将来“安くなる”と予想される必要があります。式のイメージは――
- (自国の金利)≒(相手国の金利)+(相手通貨が将来上がると予想される率)
これが金利平価です。金利差は、為替の予想変化でちょうど打ち消される、という関係です。
だから高金利通貨は将来下がると予想される
結論はこうです。金利が高い国の通貨は、いま人気で買われても、将来は下がる(減価する)と見込まれる。高い金利という“ごほうび”は、将来の値下がりという“見込み(予想される減価)”とセットになっている。だから金利だけ見て「得」とは言えないのです。
まとめ
金利平価は「金利差=為替の予想変化で打ち消される」という関係。高金利通貨は将来下がると予想される。為替と金利をバラバラでなく、セットで考えるための基本です。
※ この説明が成り立つ前提
ここまでの説明は、話を分かりやすくするために次のような単純化をしています。細かい条件なので、はじめのうちは読み飛ばしても構いません。
- ここで扱っているのは、将来の為替を予想して比べる考え方(カバーなし金利平価)です。先物であらかじめ為替を確定させる場合(カバー付き金利平価)とは区別します。
- 投資家がリスクを気にせず、お金が自由に国境を越えられることを前提にしています。
- 予想がはずれることもあるため、金利差と実際の為替の動きが必ず一致するわけではありません。
○×で確認
ここまでの内容を、○×で確かめます。5問すべてに答えてから、次の解説へ進んでください。
問1 金利の高い国の通貨で運用すれば、日本で運用するより必ず得になる。
問2 カバーなし金利平価では、高金利通貨は金利差のぶんだけ将来値下がりすると予想される。
問3 「どちらで運用しても、もうけが釣り合うように為替が調整される」という働きを裁定と呼ぶ。
問4 金利平価が成り立つなら、実際の為替レートも必ず予想どおりに動く。
問5 2つの国の金利差が2%ポイントなら、高金利通貨にはおよそ2%の値下がりが見込まれている、と読める。
○×の解説
問1 金利の高い国の通貨で運用すれば、日本で運用するより必ず得になる。
答え:×
そうは言えません。うまい話にはお金が殺到して為替が調整されるため、高い金利は将来の値下がりの見込みとセットになっています。
問2 カバーなし金利平価では、高金利通貨は金利差のぶんだけ将来値下がりすると予想される。
答え:○
そのとおりです。「どこで運用しても最終的なもうけが釣り合う」ように、金利差は為替の予想変化で打ち消される、というのが金利平価の考え方です。
問3 「どちらで運用しても、もうけが釣り合うように為替が調整される」という働きを裁定と呼ぶ。
答え:○
そのとおりです。投資家が少しでも得な方へお金を動かすことで、うまい話がすぐに消える――この働きが裁定です。
問4 金利平価が成り立つなら、実際の為替レートも必ず予想どおりに動く。
答え:×
予想はあくまで予想で、外れることもあります。金利差と実際の為替の動きが、いつもぴったり一致するわけではありません。
問5 2つの国の金利差が2%ポイントなら、高金利通貨にはおよそ2%の値下がりが見込まれている、と読める。
答え:○
そのとおりです。金利差=為替の予想変化、という関係をあてはめた読み方です。
次に読む:S3-31「マンデル=フレミング」
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