〔問題〕
地域分析に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 標準的使用は、利用形態からみた地域相互間の相対的位置関係を明らかにする手掛りになるとともに、最有効使用を判定する有力な標準となる。
⑵ 近隣地域の明確化及び特性の把握に当たっては、対象不動産を中心に外延的に広がる地域について、市場の特性を踏まえて地域要因を調査分析し、その異同を明らかにする必要がある。
⑶ 近隣地域の相対的位置の把握に当たっては、同一需給圏内の類似地域の地域要因と近隣地域の地域要因を比較して相対的な地域要因の格差の判定を行う。
⑷ 地域分析において把握した対象不動産に係る市場の特性は、鑑定評価の手法の適用及び試算価格の調整における判断においても反映すべきである。
⑸ 宅地見込地の同一需給圏は、熟成度にかかわらず、一般に当該土地の転換前の土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。
解答
解説
この問題は、総論第6章第1節「地域分析」から問われている問題です。
(1):正
標準的使用は、利用形態からみた地域相互間の相対的位置関係を明らかにする手掛りになるとともに、最有効使用を判定する有力な標準となる。
「標準的使用の意義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意標準的使用は、利用形態からみた地域相互間の相対的位置関係及び価格形成を明らかにする手掛りとなるとともに、その地域に属する不動産のそれぞれについての最有効使用を判定する有力な標準となるものである【236】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(2):正
近隣地域の明確化及び特性の把握に当たっては、対象不動産を中心に外延的に広がる地域について、市場の特性を踏まえて地域要因を調査分析し、その異同を明らかにする必要がある。
「近隣地域の判定」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意近隣地域の明確化及びその近隣地域の特性の把握に当たっては、対象不動産を中心に外延的に広がる地域について、対象不動産に係る市場の特性を踏まえて地域要因をくり返し調査分析し、その異同を明らかにしなければならない【2123】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(3):正
近隣地域の相対的位置の把握に当たっては、同一需給圏内の類似地域の地域要因と近隣地域の地域要因を比較して相対的な地域要因の格差の判定を行う。
「近隣地域の相対的位置」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意近隣地域の相対的位置の把握に当たっては、対象不動産に係る市場の特性を踏まえて同一需給圏内の類似地域の地域要因と近隣地域の地域要因を比較して相対的な地域要因の格差の判定を行うものとする【2125】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(4):正
地域分析において把握した対象不動産に係る市場の特性は、鑑定評価の手法の適用及び試算価格の調整における判断においても反映すべきである。
「地域分析の結果の反映」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意把握した市場の特性については、近隣地域における標準的使用の判定に反映させるとともに鑑定評価の手法の適用、試算価格又は試算賃料の調整等における各種の判断においても反映すべきである【272】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(5):誤
宅地見込地の同一需給圏は、熟成度にかかわらず、一般に当該土地の転換前の土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。
「見込地の同一同一需給圏の範囲」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意同一需給圏は、一般に当該土地が転換すると見込まれる土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。ただし、熟成度の低い場合には、転換前の土地の種別の同一需給圏と同一のものとなる傾向がある【267】
従って、「熟成度にかかわらず」とする本肢は誤りです。