〔問題〕
利回り等に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 直接還元法の基本的な式は次のとおりであり、Rは還元利回りである。
\( P = \frac{a}{R} \)
ロ DCF法の基本的な式は次のとおりであり、Yは割引率である。
\( P = \sum_{k=1}^{n} \frac{a_k}{(1+Y)^k} + \frac{P_R}{(1+Y)^n} \)
ハ 有期還元法の基本的な式は次のとおりであり、\(\frac{(1+Y)^N – 1}{Y(1+Y)^N} \)は年賦償還率である。
\( P = a \times \frac{(1+Y)^N – 1}{Y(1+Y)^N} \)
ニ 土地残余法の基本的な式は次のとおりであり、Bは建物等の価格、\(R_2\)は建物等の還元利回りである。
\( P = \frac{a – B \times R_1}{R_2} \)
ホ 継続賃料利回りは、利回り法の適用において、基礎価格に乗じる利回りである。
(注)式中のアルファベットの添え字の一部を、不動産鑑定評価基準及び同運用上の留意事項の表記と異なる表記に変更している。
⑴ イとロ
⑵ イとホ
⑶ ロとハ
⑷ ハとニ
⑸ ニとホ
解答
解説
この問題は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」及び第2節「賃料を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
イ:正
直接還元法の基本的な式は次のとおりであり、Rは還元利回りである。
\( P = \frac{a}{R} \)
「直接還元法の基本式」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意(1)直接還元法【384】
P = a/R【385】
P:求める不動産の収益価格【386】
a:一期間の純収益【387】
R:還元利回り【388】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ:正
DCF法の基本的な式は次のとおりであり、Yは割引率である。
\( P = \sum_{k=1}^{n} \frac{a_k}{(1+Y)^k} + \frac{P_R}{(1+Y)^n} \)
「DCF法の基本式」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意P=∑[k=1→n]ak/(1+Y)k+PR/(1+Y)n【390】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ:誤
有期還元法の基本的な式は次のとおりであり、\(\frac{(1+Y)^N – 1}{Y(1+Y)^N} \)は年賦償還率である。
\( P = a \times \frac{(1+Y)^N – 1}{Y(1+Y)^N} \)
この部分は正しい記載がされており、「有期還元法の基本式」について留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意P=a×(1+Y)N-1/Y(1+Y)N【2249】
「用いられる率」について基準には以下のように記載されています。
基準・留意(1+Y)N-1/Y(1+Y)N:複利年金現価率
従って、「年賦償還率」とする本肢は誤りです。
ニ:誤
土地残余法の基本的な式は次のとおりであり、Bは建物等の価格、\(R_2\)は建物等の還元利回りである。
\( P = \frac{a – B \times R_1}{R_2} \)
この部分は正しい記載がされており、「土地残余法の基本式」について、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意PL = a-B×RB/RL【2230】
「分母の内容」について基準には「RL:土地の還元利回り」と、記載されています。
従って、「建物等の還元利回り」とする本肢は誤りです。
ホ:正
継続賃料利回りは、利回り法の適用において、基礎価格に乗じる利回りである。
「継続賃料利回り」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である【512】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。