〔問題〕
賃貸事例比較法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 賃貸借等の事例の選択に当たっては、水道光熱費等のいわゆる付加使用料等のうちには実質的に賃料に相当する部分が含まれている場合があることに留意する必要がある。
⑵ 賃料を求める場合の個別的要因の比較に当たっては、賃貸形式、賃貸面積等の契約内容のほか、土地及び建物に関する個別的要因等にも留意する必要がある。
⑶ 対象不動産に係る賃貸借等の契約の内容において、敷金等の一時金の授受がない場合には、収集及び選択する事例は、敷金等の一時金の授受がない契約内容のものに限られる。
⑷ 継続賃料を求めるに当たっては、「契約の内容及びそれに関する経緯」等の継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行わなければならない。
⑸ 賃貸借等の事例の選択に当たっては、「修理及び現状変更に関する事項」に係る契約内容の類似性に留意する必要がある。
解答
解説
この問題は、総論第7章第2節「賃料を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
(1)：正
賃貸借等の事例の選択に当たっては、水道光熱費等のいわゆる付加使用料等のうちには実質的に賃料に相当する部分が含まれている場合があることに留意する必要がある。
「賃料に相当する部分」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意慣行上、建物及びその敷地の一部の賃貸借に当たって、水道光熱費、清掃・衛生費、冷暖房費等がいわゆる付加使用料、共益費等の名目で支払われる場合もあるが、これらのうちには実質的に賃料に相当する部分が含まれている場合があることに留意する必要がある【457】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(2)：正
賃料を求める場合の個別的要因の比較に当たっては、賃貸形式、賃貸面積等の契約内容のほか、土地及び建物に関する個別的要因等にも留意する必要がある。
「個別的要因の比較」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意賃料を求める場合の個別的要因の比較に当たっては、契約内容、土地及び建物に関する個別的要因等に留意することが必要である【2386】
「契約内容の類似性」について留意事項には「賃貸形式」、「賃貸面積【2383】」が例示されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(3)：誤
対象不動産に係る賃貸借等の契約の内容において、敷金等の一時金の授受がない場合には、収集及び選択する事例は、敷金等の一時金の授受がない契約内容のものに限られる。
本肢は、「賃貸借等の事例の選択」について述べられた選択肢です。
対象不動産で敷金等の一時金の授受がない場合にも、一時金の授受がある事例を採用することができます。一時金の授受については個別的要因の格差修正率に反映させます。
従って、「一時金の授受がないものに限られる」としている本肢は誤りです。
(4)：正
継続賃料を求めるに当たっては、「契約の内容及びそれに関する経緯」等の継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行わなければならない。
「継続賃料固有の価格形成要因」について述べられた選択肢であり、基準には「契約の内容及びそれに関する経緯【746】」が例示されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(5)：正
賃貸借等の事例の選択に当たっては、「修理及び現状変更に関する事項」に係る契約内容の類似性に留意する必要がある。
「契約内容の類似性」について述べられた選択肢であり、留意事項には「修理及び現状変更に関する事項【2383】」が例示されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
