〔問題〕
開発法に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 開発法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法の3手法の考え方を活用した手法であるが、開発法による価格が求められた場合、更地の鑑定評価額決定に当たっては他の手法による価格と関連づける。
ロ 建築を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総額は、取引事例比較法の考え方を活用して査定する。
ハ 建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は土地の造成費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用は、原価法の考え方を活用して査定する。
ニ 開発法は、収益還元法の考え方と同様に投資採算性に着目した手法である。
ホ 市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段は、開発法のみである。
⑴ イとハ
⑵ イとホ
⑶ ロとハ
⑷ ロとニ
⑸ ニとホ
解答
解説
この問題は、各論第1章第1節「土地」から問われている問題です。
イ:誤
開発法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法の3手法の考え方を活用した手法であるが、
この部分は正しい記載がされており、「鑑定評価の手法」について基準には以下のように記載されています。
基準・留意不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、このほかこれら三手法の考え方を活用した開発法等の手法がある【295】
開発法による価格が求められた場合、更地の鑑定評価額決定に当たっては他の手法による価格と関連づける。
「更地の鑑定評価」について基準には以下のように記載されています。
基準・留意更地の鑑定評価額は、更地並びに配分法が適用できる場合における建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法による収益価格を関連づけて決定するものとする。再調達原価が把握できる場合には、積算価格をも関連づけて決定すべきである。当該更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等においては、さらに次に掲げる価格を比較考量して決定するものとする(この手法を開発法という。)【628】
従って、「関連づける」としている本肢は誤りです。
ロ:正
建築を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総額は、取引事例比較法の考え方を活用して査定する。
本肢は、「開発法と取引事例比較法との関係」について述べられた選択肢です。
建築を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総額の査定には、取引事例比較法の考え方を活用しています。
従って、本肢の内容は正しいです。
ハ:正
建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は土地の造成費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用は、原価法の考え方を活用して査定する。
本肢は、「開発法と原価法の関係」について述べられた選択肢です。
建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用又は土地の造成費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用の査定には、原価法の考え方を活用しています。
従って、本肢の内容は正しいです。
ニ:正
開発法は、収益還元法の考え方と同様に投資採算性に着目した手法である。
本肢は、「開発法の特徴」について述べられた選択肢です。
開発法は、開発事業者の投資採算性を反映しているのに対し、収益還元法は投資家の投資採算性を反映しています。投下資本収益率の査定には、収益還元法の考え方が反映されています。
従って、本肢の内容は正しいです。
ホ:誤
市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段は、開発法のみである。
「取引事例比較法の検証手段」について述べられた選択肢であり、「収益還元法」に関して基準には以下のように記載されています。
基準・留意なお、市場における不動産の取引価格の上昇が著しいときは、取引価格と収益価格との乖離が増大するものであるので、先走りがちな取引価格に対する有力な験証手段として、この手法が活用されるべきである【380】
従って、「開発法のみである」とする本肢は誤りです。