解答
解説
この問題は、総論第2章第2節「不動産の類型」から問われている問題です。
イ：誤
不動産の類型とは、不動産の用途、有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいう。
「不動産の類型の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意不動産の類型とは、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいう【43】
従って、「不動産の用途」とする本肢は誤りです。
ロ：誤
宅地について、通行地役権が付着している場合における当該宅地の所有権は、底地である。
「底地の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意底地とは、宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいう【65】
「借地権の定義」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意借地権とは、借地借家法（廃止前の借地法を含む。）に基づく借地権（建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権）をいう【64】
通行地役権は建物の所有を目的とする権利ではないため、借地権ではありません。従って通行地役権が付着している土地は底地とはなりません。
従って、「底地である」としている本肢は誤りです。
ハ：正
宅地の類型は、必ずしも更地、建付地、借地権、底地、区分地上権の中から選択しなくてもよい。
「宅地の類型」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意宅地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等に分けられる【61】
基準に記載されている宅地の類型はあくまで例であり、基準に「等」とあるように、上記以外の類型として鑑定評価を行うことは可能です。
従って、本肢の内容は正しいです。
ニ：正
借地権付建物とは、借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権をいい、建物が自用の場合と賃貸されている場合のいずれも含まれる。
「借地権付建物の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意借地権付建物とは、借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権をいう【71】
借地権付建物は、建物が借地権者により使用収益されている場合(自用の場合)と借地権者以外に使用収益されている場合(賃貸されている場合)があり、鑑定評価評価額の求め方が異なります。
従って、本肢の内容は正しいです。
ホ：誤
不動産が土地と建物の結合により構成される場合において、建物を取り壊すことが最有効使用である場合は、対象不動産の類型が建物及びその敷地の類型となることはない。
本肢は、「取り壊しが最有効使用の場合の不動産の類型」について述べられた選択肢です。
建物を取り壊すことが最有効使用である場合にも、建物及びその敷地の類型として鑑定評価を行うことができます。
基準には「取り壊しが最有効使用の建物及びその敷地の鑑定評価」の鑑定評価として、「自用の建物及びその敷地」が例示されています。
基準・留意建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、建物の解体による発生材料の価格から取壊し、除去、運搬等に必要な経費を控除した額を、当該敷地の最有効使用に基づく価格に加減して決定するものとする【682】
従って、「建物及びその敷地の類型となることはない」とする本肢は誤りです。
