〔問題〕
建物の鑑定評価に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価は、建物と敷地が一体化している状態を前提として、その全体の鑑定評価額の内訳として建物について独立鑑定評価を行うものである。
ロ 建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価額は、積算価格を標準とし、比準価格及び収益価格を比較考量して決定する。
ハ 建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価額は、複合不動産価格をもとに建物に帰属する額を配分して求めた価格を標準として決定することもできる。
ニ 複合不動産価格をもとに建物に帰属する額を配分する方法は、主として、割合法と配分法の2つがある。
ホ 建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価は、一般に特殊価格を求める場合に該当し、その鑑定評価額は、積算価格を標準として決定する。
⑴ イとハ
⑵ イとニ
⑶ ロとニ
⑷ ロとホ
⑸ ハとホ
解答
解説
この問題は、各論第1章第3節「建物」から問われている問題です。
イ:誤
建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価は、建物と敷地が一体化している状態を前提として、その全体の鑑定評価額の内訳として建物について独立鑑定評価を行うものである。
「建物の鑑定評価の特徴」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意この場合の建物の鑑定評価は、その敷地と一体化している状態を前提として、その全体の鑑定評価額の内訳として建物について部分鑑定評価を行うものである【715】
従って、「独立鑑定評価」とする本肢は誤りです。
ロ:正
建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価額は、積算価格を標準とし、比準価格及び収益価格を比較考量して決定する。
「建物の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意この場合における建物の鑑定評価額は、積算価格を標準とし、配分法に基づく比準価格及び建物残余法による収益価格を比較考量して決定するものとする【716】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ:正
建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価額は、複合不動産価格をもとに建物に帰属する額を配分して求めた価格を標準として決定することもできる。
「建物の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意ただし、複合不動産価格をもとに建物に帰属する額を配分して求めた価格を標準として決定することもできる【717】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ:誤
複合不動産価格をもとに建物に帰属する額を配分する方法は、主として、割合法と配分法の2つがある。
「複合不動産価格をもとに求める方法」について述べられた選択肢です。
建付地の鑑定評価と同様に複合不動産価格をもとに建物に帰属する額を配分する方法は、割合法と控除法の2つがあります。
従って、「配分法」とする本肢は誤りです。
ホ:正
建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価は、一般に特殊価格を求める場合に該当し、その鑑定評価額は、積算価格を標準として決定する。
「建物の鑑定評価」から問われている問題です。
基準・留意この場合の建物の鑑定評価は、一般に特殊価格を求める場合に該当するものであり、文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産のうち建物について、その保存等に主眼をおいて行うものであるが、この場合における建物の鑑定評価額は、積算価格を標準として決定するものとする【719】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。