解答
解説
この問題は、各論第3章を中心に様々な範囲から問われている問題です。
(1):誤
本肢は、総論第5章第2節「価格時点の確定」に関する問題となっています。
証券化対象不動産の未竣工建物等鑑定評価を行う場合、価格時点は、証券化対象不動産の依頼者のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼすことを考慮し、竣工後の建物等の物的確認が可能となる将来時点である。
「未竣工建物等鑑定評価の価格時点」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意未竣工建物等鑑定評価は、価格時点において、当該建物等の工事が完了し、その使用収益が可能な状態であることを前提として鑑定評価を行うものであることに留意する【2077】
従って、「将来時点である」とする本肢は誤りです。
(2):正
本肢は、総論第5章第1節「対象不動産の確定」に関する問題となっています。
証券化対象不動産の未竣工建物等鑑定評価を行う場合、工事完了の実現性に加え、工事の不完全履行等により建物の建築主に生じる損害が各種保険等により回避されることを確認しなければならない。
「証券化対象不動産の未竣工建物等鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意証券化対象不動産の未竣工建物等鑑定評価は、総論第5章第1節Ⅰ2.なお書きに定める要件に加え、工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、当該不動産に係る売買契約上の約定や各種保険等により回避される場合に限り行うことができる【777】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(3):正
本肢は、各論第3章第3節「処理計画の策定」に関する問題となっています。
処理計画の策定に当たっては、建物等に係る設計図書等、請負契約書等及び法令上必要な許認可等の取得に係る確認資料並びにその入手時期を、あらかじめ依頼者に対し確認する。
「処理計画の策定において確認すべき事項」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意エンジニアリング・レポート、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期【781】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(4):正
本肢は、総論第5章第1節「対象不動産の確定」に関する問題となっています。
関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることが多い証券化対象不動産の鑑定評価等、鑑定評価が鑑定評価書の利用者の利益に重大な影響を及ぼす可能性がある場合には、原則として現実の利用状況と異なる対象確定条件等の設定をしてはならない。
「条件設定の可否」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意証券化対象不動産(各論第3章第1節において規定するものをいう。)の鑑定評価及び会社法上の現物出資の目的となる不動産の鑑定評価等、鑑定評価が鑑定評価書の利用者の利益に重大な影響を及ぼす可能性がある場合には、原則として、鑑定評価の対象とする不動産の現実の利用状況と異なる対象確定条件、地域要因又は個別的要因についての想定上の条件及び調査範囲等条件の設定をしてはならない【189】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
(5):正
本肢は、各論第3章第3節「処理計画の策定」に関する問題となっています。
未竣工建物等鑑定評価の作業を行っている途中に、設計図書や建築確認の内容が変更され、採用する数量に変更が生じた場合には、その確認を行った年月日、確認を行った不動産鑑定士の氏名、確認の相手方の氏名及び職業、確認の内容等の記録を作成し、鑑定評価報告書の附属資料として添付しなければならない。
「処理計画の策定」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています
基準・留意処理計画の策定に当たっては、あらかじめ、依頼者に対し、証券化対象不動産の鑑定評価に関する次の事項を確認し、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施を行うことができるよう適切かつ合理的な処理計画を策定するものとする。この場合において、確認された事項については、処理計画に反映するとともに、当該事項に変更があった場合にあっては、処理計画を変更するものとする【780】
「確認事項の記録」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意第3節Ⅰ(1)から(6)までの事項の確認を行った場合には、それぞれ次の事項に関する記録を作成し、及び鑑定評価報告書の附属資料として添付しなければならない【783】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。