〔問題〕
不動産鑑定評価基準各論第3章におけるDCF法の収益費用項目に係る定義及び説明に関する次のイからホまでの記述のうち、正しいものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ その他収入には、その他看板、アンテナ、自動販売機等の施設設置料、礼金・更新料等の返還を要しない一時金等の収入、預り金的性格を有する保証金等の運用益を計上する必要がある。
ロ プロパティマネジメントフィーには対象不動産の管理業務に係る経費を計上する必要があるが、証券化対象不動産については信託受益権として取得・保有されることが多いことから、信託報酬が発生している場合には、プロパティマネジメントフィーとして信託報酬を計上する必要がある。
ハ 修繕費とは、「対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の通常の維持管理のため、又は一部がき損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用」である。
ニ テナント募集費用等については、新規テナントの募集に際して行われる仲介業務や広告宣伝等に要する費用を計上し、テナントの賃貸借契約の更新や再契約業務に要する費用は、対象不動産の管理業務に係る経費に該当することから、プロパティマネジメントフィーに計上する。
ホ 損害保険料については、対象不動産及び附属設備に係る火災保険、対象不動産の欠陥や管理上の事故による第三者等の損害を担保する賠償責任保険等の料金を計上する。
⑴ イとロ
⑵ イとハ
⑶ ロとニ
⑷ ロとホ
⑸ ハとホ
解答
解説
この問題は、各論第3章第5節「DCF法の適用等」から問われている問題です。
イ:誤
その他収入には、その他看板、アンテナ、自動販売機等の施設設置料、礼金・更新料等の返還を要しない一時金等の収入、預り金的性格を有する保証金等の運用益を計上する必要がある。
「その他収入の定義」について述べられた選択肢であり、基準には「その他看板、アンテナ、自動販売機等の施設設置料、礼金・更新料等の返還を要しない一時金等の収入【817】」と、記載されています。
従って、「預り金的性格を有する保証金等の運用益」とする本肢は誤りです。
ロ:誤
プロパティマネジメントフィーには対象不動産の管理業務に係る経費を計上する必要があるが、証券化対象不動産については信託受益権として取得・保有されることが多いことから、信託報酬が発生している場合には、プロパティマネジメントフィーとして信託報酬を計上する必要がある。
「収益費用項目の留意点」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は含まないこと【2531】
従って、「計上する必要がある」とする本肢は誤りです。
ハ:正
修繕費とは、「対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の通常の維持管理のため、又は一部がき損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用」である。
「修繕費の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち当該建物、設備等の通常の維持管理のため、又は一部がき損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用【818】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ:誤
テナント募集費用等については、新規テナントの募集に際して行われる仲介業務や広告宣伝等に要する費用を計上し、テナントの賃貸借契約の更新や再契約業務に要する費用は、対象不動産の管理業務に係る経費に該当することから、プロパティマネジメントフィーに計上する。
「テナント募集費用等の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意新規テナントの募集に際して行われる仲介業務や広告宣伝等に要する費用及びテナントの賃貸借契約の更新や再契約業務に要する費用等【818】
従って、「プロパティマネジメントフィーに計上する」とする本肢は誤りです。
ホ:正
損害保険料については、対象不動産及び附属設備に係る火災保険、対象不動産の欠陥や管理上の事故による第三者等の損害を担保する賠償責任保険等の料金を計上する。
「損害保険料の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意対象不動産及び附属設備に係る火災保険、対象不動産の欠陥や管理上の事故による第三者等の損害を担保する賠償責任保険等の料金【818】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。