〔問題〕 下記の【前提条件】及び【指示事項】に基づいて、直接還元法を適用した場合の収益価格として正しいものはどれか。
【前提条件】
共益費込み貸室賃料収入(満室想定) |
140,000,000円(年額) |
運営費用 |
26,600,000円(年額) |
敷金残高 |
55,400,000円 |
建物再調達原価 |
600,000,000円 |
還元利回り |
5.0% |
【指示事項】
① 共益費込み貸室賃料収入以外の収入はないものとする。
② 空室等損失として共益費込み貸室賃料収入(満室想定)の5.0%を計上し、共益費込み貸室賃料収入(満室想定)から空室等損失を控除して運営収益を求めること。
③ 一時金の運用益として敷金残高に対して年1.0%を計上すること。
④ 資本的支出として建物再調達原価に対して年0.7%を計上すること。
⑤ 計算の途中では四捨五入は行わず、最終計算結果に1千万円未満の端数が出る場合は、1千万円未満を四捨五入して、1千万円の位まで求めること。
⑴ 2,040,000,000円
⑵ 2,060,000,000円
⑶ 2,140,000,000円
⑷ 2,200,000,000円
⑸ 2,280,000,000円
解答
解説
この問題は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
「直接法の定義」について基準には「一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法【382】」と、記載されています。
収益価格を求める方法は、以下の通りです。
まず、収益価格の査定では運営収益から運営費用を控除して運営純収益を求めます。
次に、一時金の運用益を加算して資本的支出を控除して純収益を求めます。
最後に、純収益を還元利回りで割って収益価格を求めます。
Ⅰ運営収益の査定
共益費込み貸室賃料収入
指示事項より、140,000,000円
空室等損失
空室等損失は、共益費込み貸室賃料収入に空室率を乗じて求めます。
140,000,000×5%=7,000,000
運営収益
運営収益は、共益費込み貸室賃料収入から空室等損失を控除することにより求めます。
140,000,000-7,000,000=133,000,000
Ⅱ運営費用の査定
指示事項より、26,600,000円
Ⅲ運営純収益の査定(Ⅰ-Ⅱ)
運営純収益は、運営収益から運営費用を控除して求めます。
133,000,000-26,600,000=106,400,000
Ⅳ一時金の運用益の査定
一時金の運用益は、敷金残高に運用利回り1%を乗じて求めます。
55,400,000×1%=554,000
Ⅴ資本的支出の査定
資本的支出は、建物再調達原価に指示事項から7%を乗じて求めます。
600000000×0.7%=4,200,000
Ⅵ純収益の査定(Ⅲ+Ⅳ-Ⅴ)
純収益は、運営純収益に一時金の運用益を加算して資本的支出を控除して求めます。
106,400,000+554,000-4,200,000=102,754,000
Ⅶ還元利回り
指示事項より、5.0%
Ⅷ収益価格の査定(Ⅵ÷Ⅶ)
収益価格は、純収益を還元利回りで割って求めます。
102,754,000÷5%≒2,060,000,000
従って、(2)が正解となります。