〔問題〕
下記の【前提条件】に基づき、宅地の新規賃料を積算法によって求めた場合、計算結果として正しいものはどれか。
【前提条件】
・月額支払賃料を求める鑑定評価
・対象不動産の最有効使用を制約する契約条件はなし
・予定契約の内容
①建物所有を目的とする普通借地契約
②契約期間:30年
③権利金:9,000,000円(返還義務なし)
・対象不動産の更地価格
300,000,000円
・期待利回り
3.0%
・必要諸経費等
公租公課:600,000円
・運用利回り
1.0%
・年賦償還率
※権利金の運用益及び償却額は年賦償還率を使用して求めるものとする。
年率1.0%、期間30年:0.04
⑴ 440,000円
⑵ 670,000円
⑶ 770,000円
⑷ 800,000円
⑸ 830,000円
解答
解説
この問題は、総論第7章第2節「賃料を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
「積算法の定義」について基準には以下のように記載されています。
基準・留意積算法は、対象不動産について、価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である(この手法による試算賃料を積算賃料という。)【469】
Ⅰ基礎価格の査定
対象不動産は契約減価がないため、更地価格である300,000,000円をもって基礎価格とします。
Ⅱ期待利回り
指示事項より、3.0%
Ⅲ必要諸経費等
指示事項より、600,000円
Ⅳ積算賃料の査定
300,000,000×3.0%+600,000=9,600,000
Ⅴ月額支払賃料の査定
月額支払賃料をaとおいて、Ⅳで求めた年額実質賃料を用いて求めます。
本問の年額実質賃料は、12ヶ月分の支払賃料に前払い的性格を有する一時金9,000,000円の運用益及び償却額を加算したものです。
9,600,000=12×a+9,000,000×0.04より、a=770,000
従って、(3)が正解となります。