〔問題〕
類型が貸家及びその敷地であって賃借人が運営を行っている老人ホームの鑑定評価を依頼された場合の対応に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 感染症対策のため老人ホームの一部の実地調査が行えない旨を依頼者から告げられたので、やむを得ず当該部分の実地調査を行わず、鑑定評価報告書に実地調査を行わなかった旨を記載したが、その理由までは記載しなかった。
(2) 収益性を分析した結果、一般的な老人ホームより大きい超過収益が発生しており、かつそれが運営事業者の経営に帰属するものであったが、賃貸借契約において当該超過収益の一部を不動産の所有者に安定的に帰属させる旨の合意があったため、当該超過収益の一部が対象不動産に帰属することを前提に試算した。
(3) 建物及びその敷地の最有効使用は建物の取壊しであったが、証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下、資産流動化計画により投資家に開示される運用方法が老人ホームとしての事業の継続であったため、当該運用方法を前提に正常価格として求めた。
(4) 地下に昔の建物の基礎杭が残置されており、それが撤去されたことを前提とする想定上の条件を設定してほしいと依頼者から頼まれたが、当該条件が鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがあったため、想定上の条件に換えて同じ内容の調査範囲等条件を設定した。
(5) 事業用不動産とは、賃貸以外の事業の用に供する不動産のうち、その収益性が当該事業の経営の動向に強く影響を受けるものをいうため、類型が貸家及びその敷地である老人ホームは事業用不動産に該当しないと判定した。