〔問題〕
最有効使用に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 最有効使用の判定に当たっては、価格形成要因が常に変動の過程にあるため、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定しなければならない。
ロ 建物及びその敷地に係る鑑定評価においては、建物及びその敷地の最有効使用を判定するため、その敷地の更地としての最有効使用は判定しない場合がある。
ハ 現実の建物の用途・規模等が更地としての最有効使用と異なる場合、更地価格から建物の取り壊し等に要する費用を控除した価格が鑑定評価額となる。
ニ 最有効使用の判定に当たっては、使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であることに留意すべきである。
ホ 地域要因が変動する予測を前提とした最有効使用の判定に当たっては、予測の限界を踏まえ、鑑定評価を行う時点で一般的に収集可能かつ信頼できる情報に基づき、当該変動の時期及び具体的内容についての実現の蓋然性が高いことが認められなければならない。
(1) イとニ
(2) イとホ
(3) ロとハ
(4) ロとニ
(5) ハとホ
解答
解説
この問題は、総論第6章第2節「個別分析」から問われている問題です。
イ：正
最有効使用の判定に当たっては、価格形成要因が常に変動の過程にあるため、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定しなければならない。
「最有効使用の判定の際の留意点」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定すること【286】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ：誤
建物及びその敷地に係る鑑定評価においては、建物及びその敷地の最有効使用を判定するため、その敷地の更地としての最有効使用は判定しない場合がある。
建物及びその敷地の最有効使用は、更地としての最有効使用を踏まえて判定するため、不動産の鑑定評価に当たって、更地の最有効使用を判定しない場合はありません。
従って、「判定しない場合がある」としている本肢は誤りです。
ハ：誤
現実の建物の用途・規模等が更地としての最有効使用と異なる場合、更地価格から建物の取り壊し等に要する費用を控除した価格が鑑定評価額となる。
「建物及びその敷地の最有効使用の判定」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意現実の建物の用途等が更地としての最有効使用に一致していない場合には、更地としての最有効使用を実現するために要する費用等を勘案する必要があるため、建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容が必ずしも一致するものではない【288】
現実の建物の用途が更地としての最有効使用と異なる場合でも取り壊しが最有効使用となるとは限らないため、更地価格から取り壊し費用を控除した価格となるとは限りません。
従って、「取り壊しを前提とした鑑定評価額となる」としている本肢は誤りです。
二：正
最有効使用の判定に当たっては、使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であることに留意すべきである。
「最有効使用の判定の際の留意点」について述べられた選択肢であり、基準には
基準・留意使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であること【283】
と、記載されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ：正
地域要因が変動する予測を前提とした最有効使用の判定に当たっては、予測の限界を踏まえ、鑑定評価を行う時点で一般的に収集可能かつ信頼できる情報に基づき、当該変動の時期及び具体的内容についての実現の蓋然性が高いことが認められなければならない。
「最有効使用の判定の際の留意点」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意地域要因の変動の予測に当たっては、予測の限界を踏まえ、鑑定評価を行う時点で一般的に収集可能かつ信頼できる情報に基づき、当該変動の時期及び具体的内容についての実現の蓋然性が高いことが認められなければならない【2159】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
