解答
解説
この問題は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
イ：誤
不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法、収益還元法及びこれら三手法とは異なる考え方に基づく開発法に大別される。
「価格を求める手法」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別され、このほかこれら三手法の考え方を活用した開発法等の手法がある【295】
従って、「三手法とは異なる考え方に基づく」としている本肢は誤りです。
ロ：正
鑑定評価の原価方式、比較方式及び収益方式の三方式は、不動産の価格の三面性、すなわち不動産の再調達原価、不動産の取引事例又は賃貸借等の事例、不動産から生み出される収益にそれぞれ着目するものである。
「鑑定評価の方式」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意原価方式は不動産の再調達（建築、造成等による新規の調達をいう。）に要する原価に着目して、比較方式は不動産の取引事例又は賃貸借等の事例に着目して、収益方式は不動産から生み出される収益に着目して、それぞれ不動産の価格又は賃料を求めようとするものである【292】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ：正
鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる取引事例等は、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならないが、建築費高騰を反映した取引事例等は必ずしも投機的取引とはいえない。
「取引事例等の選択要件」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意取引事例等は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない【300】
建築費高騰は価格を高めることとなりますが、価格が高くなるからといって投機的取引であるとは限りません。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ：正
価格形成要因のうち一般的要因は、不動産の価格形成全般に影響を与えるものであるから、取引事例等の収集、選択等においても一般的要因との関連を十分に把握、分析しなければならない。
「一般的要因の活用」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意価格形成要因のうち一般的要因は、不動産の価格形成全般に影響を与えるものであり、鑑定評価手法の適用における各手順において常に考慮されるべきものであり、価格判定の妥当性を検討するために活用しなければならない【298】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ：誤
対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合には、その取引事例等は、同一需給圏にこだわらず代替競争不動産に係るものを広くかつ組織的に収集、選択する必要がある。
「事例の選択範囲」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意① 近隣地域又は同一需給圏内の類似地域若しくは必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域（以下「同一需給圏内の類似地域等」という。）に存する不動産
② 不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等において同一需給圏内に存し対象不動産と代替、競争等の関係が成立していると認められる不動産（以下「同一需給圏内の代替競争不動産」という。）【303】
同一需給圏は代替関係が成立する不動産の存する範囲の限界であるため、取引事例等は同一需給圏から選択する必要があります。
従って、「同一需給圏にこだわらず」としている本肢は誤りです。
