解答
解説
この問題は、総論第1章第4節「不動産鑑定士の責務」から問われている問題です。
イ：正
不動産の鑑定評価とは、この社会における一連の価格秩序のなかで、対象不動産の価格の占める適正なあり所を指摘することであり、具体的には、不動産の価格を貨幣額で表示することである。
「不動産の鑑定評価の意義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。それは、この社会における一連の価格秩序の中で、その不動産の価格及び賃料がどのような所に位するかを指摘することである【26】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ：誤
不動産の鑑定評価では、練達堪能な専門家によって鑑定評価の一連の手順が十分に尽くされる限り、最終的な結論としての鑑定評価額について、不動産鑑定士による差は生じないとされている。
不動産の鑑定評価は、各不動産鑑定士の判断であり意見であって、収集した資料や鑑定評価の手順の各段階において行った判断の違い等により鑑定評価額は異なります。
従って、「差は生じない」としている本肢は誤りです。
ハ：誤
不動産鑑定士は、正当な理由なく、職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないが、鑑定評価を行った事実は秘密に当たらないため、対象不動産の名称を鑑定評価実績として所属する業者の広告に掲載することができる。
「秘密保持」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意正当な理由がなくて、その職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない【34】
対象不動産の名称は、まさに職務において知り得た秘密です。
従って、「秘密に当たらない」としている本肢は誤りです。
ニ：正
不動産の鑑定評価に当たっては、専門職業家としての注意を払わなければならず、
この部分は正しい記載がされており、「不動産鑑定士の責務」について基準には以下のように記載されています。
基準・留意不動産の鑑定評価に当たっては、専門職業家としての注意を払わなければならない【38】
他の専門家が行った調査結果等の活用の適否についても、鑑定評価を行う不動産鑑定士が主体的に責任を持って判断する必要がある。
「不動産鑑定士の責任」について留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意エンジニアリング・レポートの活用に当たっては、不動産鑑定士が主体的に責任を持ってその活用の有無について判断を行うものであることに留意する必要がある【2523】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ：正
自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価依頼は引き受けてはならない。
「不動産鑑定士の責務」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価を引き受け、又は縁故若しくは特別の利害関係を有する場合等、公平な鑑定評価を害する恐れのあるときは、原則として不動産の鑑定評価を引き受けてはならないこと【39】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
