〔問題〕
資料の収集及び整理並びに価格形成要因の分析に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 資料の収集及び整理は、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により的確に行うものとし、公正妥当を欠くようなことがあってはならない。
ロ 賃貸借の事例は、同一ビル内の事例であれば賃料水準が同じになるのが一般的であり、新規賃料、継続賃料の別に留意して整理しなくてもよい。
ハ 要因資料とは、価格形成要因に照応する資料であり、公的機関、不動産業者、金融機関、商工団体等による地域経済や不動産市場の推移及び動向に関する公表資料等も幅広く収集する。
ニ 確認資料とは、不動産の物的確認及び公法上の規制の確認に必要な資料であり、住宅地図や都市計画図等を収集する。
ホ 依頼目的や依頼者の事情による制約がある場合には、条件設定に係る一定の要件を満たし、依頼者の同意を得ることができれば、調査範囲等条件を設定の上、事実の確認が困難な特定の価格形成要因を除外して鑑定評価を行うことができる。
(1) イとロ
(2) イとホ
(3) ロとニ
(4) ハとニ
(5) ニとホ
解答
解説
この問題は、総論第8章第5節「資料の収集及び整理」から問われている問題です。
イ：正
資料の収集及び整理は、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により的確に行うものとし、公正妥当を欠くようなことがあってはならない。
「資料の収集」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意資料の収集及び整理は、鑑定評価の作業に活用し得るように適切かつ合理的な計画に基づき、実地調査、聴聞、公的資料の確認等により的確に行うものとし、公正妥当を欠くようなことがあってはならない【546】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ：誤
賃貸借の事例は、同一ビル内の事例であれば賃料水準が同じになるのが一般的であり、新規賃料、継続賃料の別に留意して整理しなくてもよい。
本肢は、「賃貸事例の収集範囲」について述べられた選択肢です。
賃貸借の事例は、同一ビル内の事例であれば賃料水準が同じになるのが一般的ですが、継続賃料は新規賃料と乖離する傾向があり、同一の水準になるとは限りません。
従って、「新規と継続賃料の別を整理しなくてよい」とする本肢は誤りです。
ハ：正
要因資料とは、価格形成要因に照応する資料であり、
この部分は正しい記載がされており、「要因資料の定義」について基準には「要因資料とは、価格形成要因に照応する資料をいう【551】」と、記載されています。
公的機関、不動産業者、金融機関、商工団体等による地域経済や不動産市場の推移及び動向に関する公表資料等も幅広く収集する。
「市場分析における資料収集」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意公的機関、不動産業者、金融機関、商工団体等による地域経済や不動産市場の推移及び動向に関する公表資料を幅広く収集し、分析することが重要である【2152】
これも本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ：誤
確認資料とは、不動産の物的確認及び公法上の規制の確認に必要な資料であり、住宅地図や都市計画図等を収集する。
「確認資料の定義」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意確認資料とは、不動産の物的確認及び権利の態様の確認に必要な資料をいう【549】
従って、「公法上の規制の確認に必要」とする本肢は誤りです。
ホ：正
依頼目的や依頼者の事情による制約がある場合には、条件設定に係る一定の要件を満たし、依頼者の同意を得ることができれば、調査範囲等条件を設定の上、事実の確認が困難な特定の価格形成要因を除外して鑑定評価を行うことができる。
「事実の確認が困難な価格形成要因の扱い」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意依頼目的や依頼者の事情による制約がある場合には、依頼者の同意を得て、想定上の条件を設定して鑑定評価を行うこと若しくは調査範囲等条件を設定して鑑定評価を行うことができる。この場合、想定上の条件又は調査範囲等条件を設定するためには条件設定に係る一定の要件を満たすことが必要である【558】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
