〔問題〕
建付地の鑑定評価に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 建付地は、建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているため、建物等と密接な関連を持つものであり、必ず建物等の用に供されている宅地である。
ロ 建付地の鑑定評価額は、当該建付地の更地としての価格が上限になる。
ハ 建付地の鑑定評価報告書には、当該敷地上に存する建物等の構造、規模、用途、数量、配置の状態等を記載する。
ニ 建付地の鑑定評価における対象確定条件は、現実の状態を所与とした土地のみの独立鑑定評価となる。
ホ 建付地の鑑定評価において、建物及びその敷地(複合不動産)の価格及び手法適用の過程で土地・建物の価格が適切に求められる場合は、複合不動産価格をもとに敷地に帰属する額を求める方法の信頼性は高い。
(1) イとロ
(2) イとホ
(3) ロとニ
(4) ハとニ
(5) ハとホ
解答
解説
この問題は、各論第1章第1節「土地」から問われている問題です。
イ：正
建付地は、建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているため、建物等と密接な関連を持つものであり、必ず建物等の用に供されている宅地である。
「建付地の特徴」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意建付地は、建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているため、建物等と密接な関連を持つものであり、したがって、建付地の鑑定評価は、建物等と一体として継続使用することが合理的である場合において、その敷地（建物等に係る敷地利用権原のほか、地役権等の使用収益を制約する権利が付着している場合にはその状態を所与とする。）について部分鑑定評価をするものである【633】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ：誤
建付地の鑑定評価額は、当該建付地の更地としての価格が上限になる。
本肢は、「建付地の価格」について述べられた選択肢です。
建付地の鑑定評価額は、更地としての価格を上回ることがあります。例としては、既存不適格建物で現在許容されている容積率よりも大きい容積率となっている不動産、収益性が優れる賃貸用不動産が挙げられる。
従って、「更地価格が上限となる」としている本肢は誤りです。
ハ：正
建付地の鑑定評価報告書には、当該敷地上に存する建物等の構造、規模、用途、数量、配置の状態等を記載する。
本肢は、「建付地の記載事項」について述べられた選択肢です。
建付地は建物と密接な関連をもつため、鑑定評価報告書には建物の詳細について記載する必要があります。
従って、本肢の内容は正しいです。
ニ：誤
建付地の鑑定評価における対象確定条件は、現実の状態を所与とした土地のみの独立鑑定評価となる。
「対象確定条件」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意建付地の鑑定評価は、建物等と一体として継続使用することが合理的である場合において、その敷地（建物等に係る敷地利用権原のほか、地役権等の使用収益を制約する権利が付着している場合にはその状態を所与とする。）について部分鑑定評価をするものである【633】
従って、「独立鑑定評価となる」としている本肢は誤りです。
ホ：正
建付地の鑑定評価において、建物及びその敷地(複合不動産)の価格及び手法適用の過程で土地・建物の価格が適切に求められる場合は、複合不動産価格をもとに敷地に帰属する額を求める方法の信頼性は高い。
「建付地の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意建物及びその敷地としての価格（以下「複合不動産価格」という。）をもとに敷地に帰属する額を配分して求めた価格を標準として決定することもできる【635】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
