〔問題〕
不動産鑑定評価基準各論第3章におけるDCF法の収益費用項目に係る次のイからホまでの記述のうち、誤っているものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は含まない。
ロ 収益費用項目においては、その査定根拠となる積算内訳等を示さなくてはならない。
ハ 収益費用項目は、DCF法の適用にあたり統一が求められているものであり、直接還元法の適用においては、変更することができる。
ニ 運営純収益と証券化対象不動産に係る一般の開示書類等で見られるいわゆる「NOI(ネット・オペレーティング・インカム)」はその内訳が異なる場合があることに留意する必要がある。
ホ 純収益は償却後のものとして求めることから、運営費用に減価償却費を計上する。
(1) イとロ
(2) ロとハ
(3) ハとニ
(4) ハとホ
(5) ニとホ
解答
解説
この問題は、各論第3章第5節「ＤＣＦ法の適用等」から問われている問題です。
イ：正
収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー(個別の不動産に関する費用は除く)等の証券化関連費用は含まない。
「収益費用項目に関する留意事項」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意収益費用項目においては、信託報酬、特別目的会社・投資法人・ファンド等に係る事務費用、アセットマネジメントフィー（個別の不動産に関する費用は除く）等の証券化関連費用は含まないこと【2531】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ：正
収益費用項目においては、その査定根拠となる積算内訳等を示さなくてはならない。
「収益費用項目の記載事項」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意収益費用項目ごとに、記載した数値の積算内訳等を付記するものとする【816】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ：誤
収益費用項目は、DCF法の適用にあたり統一が求められているものであり、直接還元法の適用においては、変更することができる。
「収益費用項目の留意事項」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意収益費用項目については、ＤＣＦ法を適用した場合の検証として適用する直接還元法においても、同様に用いる必要がある【2533】
従って、「変更することができる」としている本肢は誤りです。
二：正
運営純収益と証券化対象不動産に係る一般の開示書類等で見られるいわゆる「NOI(ネット・オペレーティング・インカム)」はその内訳が異なる場合があることに留意する必要がある。
「収益費用項目の留意事項」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意各論第３章第５節Ⅱ（１）の表に定める「運営純収益」と証券化対象不動産に係る一般の開示書類等で見られるいわゆる「ＮＯＩ（ネット・オペレーティング・インカム）」はその内訳が異なる場合があること【2531】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ：誤
純収益は償却後のものとして求めることから、運営費用に減価償却費を計上する。
「収益費用項目に関する留意事項」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意「純収益」は償却前のものとして求めることとしていることから減価償却費は計上しないこと【2531】
従って、「計上する」としている本肢は誤りです。
