〔問題〕 下記の【前提条件】及び【数値】に従って還元利回りを求める場合の計算結果として正しいものはどれか。
【前提条件】
・次の①〜③の方法を採用する。
① 類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
② 借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法
③ 土地と建物に係る還元利回りから求める方法
・上記のうち②及び③については、不動産鑑定評価基準運用上の留意事項に記載の基本的な式に従って計算するものとする。
・上記①〜③を単純平均した値をもって、求める還元利回りとする。
【数値】
①の方法による還元利回り |
4.0% |
借入金還元利回り |
3.0% |
借入金割合 |
30% |
自己資金還元利回り |
5.0% |
自己資金割合 |
70% |
土地の還元利回り |
3.5% |
土地の価格割合 |
50% |
建物等の還元利回り |
4.9% |
建物等の価格割合 |
50% |
※計算の途中では四捨五入は行わず、最終計算結果に 0.1 %未満の端数が出る場合は、0.1 % 未満を四捨五入して、0.1%の位まで求めること。
(1)3.9%
(2)4.0%
(3)4.1%
(4)4.2%
(5)4.3%
解答
解説
この問題は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
還元利回りについて、基準には以下のように記載されています。
基準・留意還元利回りは、直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率であり、将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである【424】
①「類似の不動産の取引事例との比較から求める方法」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる利回りをもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるものである【433】
①の方法による還元利回りは、指示事項より4.0%です。
②「借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求めるものである【435】
②の方法による還元利回りは、
3.0%×0.3+5%×0.7=4.4%
となります。
③「土地と建物に係る還元利回りから求める方法」について、基準には以下のように記載されています。
基準・留意対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるものである【437】
③の方法による還元利回りは、
3.5%×0.5+4.9%×0.5=4.2%
となります。
①、②、③の還元利回りを平均すると、
(4.0%+4.4%+4.2%)÷3=4.2%
となります。
従って、(4)が正解となります。