〔問題〕
地域要因に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
⑴ 地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格形成に全般的な影響を与える要因をいい、不動産の鑑定評価上、その地域は用途的観点から分類されることが最も適切である。
⑵ 地域要因について想定上の条件を設定することが妥当と認められる場合は、計画及び諸規則の変更、改廃に権能を持つ公的機関の設定する事項に主として限られる。
⑶ 住宅地域の地域要因のうち、情報通信基盤の整備の状態は、特に生活利便性に大きな影響を与えつつある要因のひとつである。
⑷ 商業地域には商業地域特有の地域要因があり、日照、温度、湿度、風向等の気象の状態は商業地域の地域要因ではない。
⑸ ある種別の地域から他の種別への地域へと転換し、又は移行しつつある地域内の土地については、特に周辺地域の地域要因の変化の推移、動向がそれらの土地の変化の動向予測にあたって有効な資料になる。
解答
解説
この問題は、総論第3章第2節「地域要因」から問われている問題です。
⑴:正
地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格形成に全般的な影響を与える要因をいい、
この部分は正しい記載がされており、「地域要因の定義」について基準には以下のように記載されています。
基準・留意地域要因とは、一般的要因の相関結合によって規模、構成の内容、機能等にわたる各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因をいう【88】
不動産の鑑定評価上、その地域は用途的観点から分類されることが最も適切である。
「近隣地域」について基準には「用途的観点から区分される地域(以下「用途的地域」という。)、すなわち近隣地域【235】」と、記載されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
用途的地域は、行政上の地域地区の一つである「用途地域」と一致するとは限りません。
⑵:正
地域要因について想定上の条件を設定することが妥当と認められる場合は、計画及び諸規則の変更、改廃に権能を持つ公的機関の設定する事項に主として限られる。
「地域要因について想定上の条件を設定することができる場合」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意一般に、地域要因について想定上の条件を設定することが妥当と認められる場合は、計画及び諸規制の変更、改廃に権能を持つ公的機関の設定する事項に主として限られる【185】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
⑶:正
住宅地域の地域要因のうち、情報通信基盤の整備の状態は、特に生活利便性に大きな影響を与えつつある要因のひとつである。
本肢は、「住宅地域の地域要因」について述べられた選択肢です。
住宅地域、商業地域、工業地域では、市場参加者が異なるため、不動産に期待する効用の尺度も異なり、不動産の鑑定評価において重視すべき要因が異なります。住宅地域では居住の快適性及び利便性にう影響を与える要因が重視されます。
基準には「住宅地域の地域要因」として「情報通信基盤の整備の状態【92】」が例示されています。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
⑷:誤
商業地域には商業地域特有の地域要因があり、日照、温度、湿度、風向等の気象の状態は商業地域の地域要因ではない。
本肢は、「各地域に共通する地域要因」について述べられた選択肢です。
商業地域には、商業地域特有の地域要因がありますが、一方で住宅地域・商業地域・工業地域で共通する要因もあります。基準には「各地域に共通する地域要因」として「日照、温度、湿度、風向等の気象の状態【94】」記載されています。
従って、「商業地域の地域要因でない」とする本肢は誤りです。
⑸:正
ある種別の地域から他の種別への地域へと転換し、又は移行しつつある地域内の土地については、特に周辺地域の地域要因の変化の推移、動向がそれらの土地の変化の動向予測にあたって有効な資料になる。
「近隣地域の地域分析」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意見込地及び移行地については、特に周辺地域の地域要因の変化の推移、動向がそれらの土地の変化の動向予測に当たって有効な資料となるものである【2128】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。