〔問題〕
建物に関する個別的要因について、次の記述のうち誤っているものはどれか。
⑴ 建物の個別的要因として「建物の性能」があるが、鉄骨鉄筋コンクリート造の堅固建物であっても、現行の建築基準法に基づくいわゆる新耐震基準を満たしているとは言えないこともある。
⑵ 建物の個別的要因として「維持管理の状態」があるが、維持管理の状態の良否は、現在の建物の減価の度合いに影響を与えるが、将来見込まれる修繕費用には影響を与えない。
⑶ 住宅において特に留意すべき個別的要因としては、屋根、外壁、基礎、床、内装、間取り、台所・浴室・便所等の給排水設備・衛生設備の状況等がある。
⑷ 事務所ビルにおいて留意すべき個別的要因としては、基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備の状況等がある。
⑸ 大規模で機能性が高い物流施設の場合は、物流施設において留意する個別的要因のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意が必要である。
解答
解説
この問題は、総論第3章第3節「個別的要因」から問われている問題です。
⑴:正
建物の個別的要因として「建物の性能」があるが、鉄骨鉄筋コンクリート造の堅固建物であっても、現行の建築基準法に基づくいわゆる新耐震基準を満たしているとは言えないこともある。
基準には「建物の各用途に共通する個別的要因」として「維持管理の状態【129】」が例示されています。
鉄筋鉄骨コンクリート造りの建物だからと言って、違法建築の場合もあるため、必ずしも新耐震基準を満たしているとは限りません。
従って、本肢の内容は正しいです。
「建物の性能」について、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意建物の耐震性については、建築基準法に基づく耐震基準との関係及び建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく耐震診断の結果について特に留意する必要がある【2046】
⑵:誤
建物の個別的要因として「維持管理の状態」があるが、
この部分は正しい記載されており、基準には「建物の各用途に共通する個別的要因」として「維持管理の状態【129】」が例示されています。
維持管理の状態の良否は、現在の建物の減価の度合いに影響を与えるが、将来見込まれる修繕費用には影響を与えない。
維持管理の状態は、建物の減価の進行度合いを左右するという部分は正しいです。
一方で、点検や部品の交換が適切に行われ、維持管理の状態が優れている場合には、将来大規模修繕を行う必要性が緩和されることがあります。
従って、「将来見込まれる修繕費用には影響を与えない」とする本肢は誤りです。
⑶:正
住宅において特に留意すべき個別的要因としては、屋根、外壁、基礎、床、内装、間取り、台所・浴室・便所等の給排水設備・衛生設備の状況等がある。
「住宅において特に留意すべき個別的要因」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意屋根、外壁、基礎、床、内装、間取り、台所・浴室・便所等の給排水設備・衛生設備の状況等に留意する必要がある【2056】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
⑷:正
事務所ビルにおいて留意すべき個別的要因としては、基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備の状況等がある。
「事務所ビルにおいて留意すべき個別的要因」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意基準階床面積、天井高、床荷重、情報通信対応設備・空調設備・電気設備等の状況及び共用施設の状態等に留意する必要がある【2059】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
⑸:正
大規模で機能性が高い物流施設の場合は、物流施設において留意する個別的要因のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意が必要である。
「大規模物流施設において留意すべき個別的要因」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意大規模で機能性が高い物流施設の場合は、保管機能のほか、梱包、仕分け、流通加工、配送等の機能を担うことから、これらの機能に応じた設備や、各階への乗入を可能とする自走式車路の有無等に留意する必要がある【2063】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。