解答
解説
この問題は、総論第4章「不動産の価格に関する諸原則」及び総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
イ：誤
本肢は、総論第4章「不動産の価格に関する諸原則」に関する問題となっています。
土地、資本、労働及び経営の各要素の結合によって生ずる総収益のうち、資本、労働及び経営に配分される部分以外の部分は土地に帰属する、というのは寄与の原則を示したものである。
本肢は「寄与の原則」ではなく、「収益配分の原則」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意土地、資本、労働及び経営（組織）の各要素の結合によって生ずる総収益は、これらの各要素に配分される。したがって、このような総収益のうち、資本、労働及び経営（組織）に配分される部分以外の部分は、それぞれの配分が正しく行われる限り、土地に帰属するものである。【157】
従って、「寄与の原則」とする本肢は誤りです。
「収益配分の原則」は、価格を求める手法である収益還元法、新規賃料を求める手法である収益分析法の根拠となる原則です。
ロ：正
本肢は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
収益還元法のうちDCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を予測しそれらを明示することから、収益価格を求める過程について説明性に優れたものである。
「DCF法の説明性」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意ＤＣＦ法は、連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を予測しそれらを明示することから、収益価格を求める過程について説明性に優れたものである。【2322】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ：誤
本肢は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
賃貸用不動産の収益還元法の適用において、総収益を算定する場合には、支払賃料に預り金的性格を有する保証金等の運用益、賃料の前払的性格を有する権利金の運用益、並びに駐車場使用料等のその他収入を加えた額とする。
「賃貸用不動産の総収益」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意賃貸用不動産の総収益は、一般に、支払賃料に預り金的性格を有する保証金等の運用益、賃料の前払的性格を有する権利金等の運用益及び償却額並びに駐車場使用料等のその他収入を加えた額（以下「支払賃料等」という。）とする。【412】
従って、「賃料の前払的性格を有する権利金等の運用益を計上する」としている本肢は誤りです。
ニ：誤
本肢は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
事業用不動産の収益還元法の適用において、その収益性を分析するに当たっては、事業経営に影響を及ぼす社会経済情勢、当該不動産の存する地域において代替、競争等の関係にある一般の財と比べて優劣及び競争力の程度等について中長期的な観点から行うことが重要である。
「事業用不動産の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意事業用不動産に係る収益性の分析に当たっては、事業経営に影響を及ぼす社会経済情勢、当該不動産の存する地域において代替、競争等の関係にある不動産と比べた優劣及び競争力の程度等について中長期的な観点から行うことが重要である。【2365】
従って、「一般の財」としている本肢は誤りです。
ホ：正
本肢は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
不動産が敷地と建物等との結合によって構成されている場合において、収益還元法以外の手法によって建物等の価格を求めることができるときは、土地残余法を適用することができるが、建物等が古い場合には複合不動産の生み出す純収益から土地に帰属する純収益が的確に求められないことが多いので、建物等は新築か築後間もないものでなければならない。
「建物及びその敷地に適用する土地残余法」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意不動産が敷地と建物等との結合によって構成されている場合において、収益還元法以外の手法によって建物等の価格を求めることができるときは、土地残余法を適用することができるが、建物等が古い場合には複合不動産の生み出す純収益から土地に帰属する純収益が的確に求められないことが多いので、建物等は新築か築後間もないものでなければならない【2227】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
