〔問題〕
賃料を求める鑑定評価に関して、次のイからホまでの記述のうち、正しいものをすべて掲げた組合せはどれか。
イ 新規賃料を求める鑑定評価の手法は、原価法、賃貸事例比較法、収益分析法等がある。
ロ 賃貸借に関する諸条件が付されたうえで、支払賃料を求める鑑定評価を依頼されたため、実質賃料の算定は省略した。
ハ 賃貸借等の契約において授受される一時金の運用利回りは、その性格や契約内容、対象不動産の種類及び性格等に応じて異なる。
ニ 契約に当たって一時金が授受される場合における支払賃料は、実質賃料から当該一時金に係る運用益及び償却額を控除して求める。
ホ 賃貸借の契約に当たって授受される賃料の預り金的性格を有する一時金には、一般的に敷金や保証金のほか、更新料、名義変更料などがある。
(1) イとニ
(2) イとホ
(3) ロとハ
(4) ロとホ
(5) ハとニ
解答
解説
この問題は、総論第7章第2節「賃料を求める鑑定評価の手法」から問われている問題です。
イ:誤
新規賃料を求める鑑定評価の手法は、原価法、賃貸事例比較法、収益分析法等がある。
「新規賃料を求める手法」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意不動産の賃料を求める鑑定評価の手法は、新規賃料にあっては積算法、賃貸事例比較法、収益分析法等がある【451】
従って、「新規賃料を求める手法に原価法がある」とする本肢は誤りです。
ロ:誤
賃貸借に関する諸条件が付されたうえで、支払賃料を求める鑑定評価を依頼されたため、実質賃料の算定は省略した。
「支払賃料を求める場合」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意賃料の鑑定評価は、対象不動産について、賃料の算定の期間に対応して、実質賃料を求めることを原則とし、賃料の算定の期間及び支払いの時期に係る条件並びに権利金、敷金、保証金等の一時金の授受に関する条件が付されて支払賃料を求めることを依頼された場合には、実質賃料とともに、その一部である支払賃料を求めることができるものとする。
これは、一定の要件を満たせば実質賃料だけではなく、支払賃料も求めることができるということです。
従って、「実質賃料の算定を省略した」とする本肢は誤りです。
ハ:正
賃貸借等の契約において授受される一時金の運用利回りは、その性格や契約内容、対象不動産の種類及び性格等に応じて異なる。
「運用利回りの求め方」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意運用利回りは、賃貸借等の契約に当たって授受される一時金の性格、賃貸借等の契約内容並びに対象不動産の種類及び性格等の相違に応じて、当該不動産の期待利回り、不動産の取引利回り、長期預金の金利、国債及び公社債利回り、金融機関の貸出金利等を比較考量して決定するものとする【461】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ:正
契約に当たって一時金が授受される場合における支払賃料は、実質賃料から当該一時金に係る運用益及び償却額を控除して求める。
「支払賃料の求め方」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意契約に当たって一時金が授受される場合における支払賃料は、実質賃料から、当該一時金について賃料の前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額並びに預り金的性格を有する一時金の運用益を控除して求めるものとする【459】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ:誤
賃料の預り金的性格を有する一時金には、一般的に敷金や保証金のほか、
この部分は正しい内容が記載されており、敷金、保証金は預り金的性格を有する一時金です。
更新料、名義変更料などがある
更新料、名義変更料は、賃料の前払的性格を有する一時金です。
従って、「更新料、名義変更料を預り金的性格を有する一時金」とする本肢は誤りです。