解答
解説
この問題は、各論第3章第5節「ＤＣＦ法の適用等」など、基準の様々な部分から問われている問題です。
イ：誤
本肢は、各論第3章第5節「ＤＣＦ法の適用等」に関する問題となっています。
プロパティマネジメントフィーは、通常、対象不動産の維持管理・運営において経常的に要する費用のうち、共用部分に係る費用として賃借人より徴収するものをいう。
本肢は「プロパティマネジメントフィー」ではなく、「共益費」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意対象不動産の維持管理・運営において経常的に要する費用のうち、共用部分に係る費用として賃借人より徴収するもの【817】
プロパティマネジメントフィーは、基準には「対象不動産の管理業務に係る経費【818】」と、記載されています。
従って、「プロパティマネジメントフィー」としている本肢は誤りです。
ロ：正
本肢は、各論第3章第5節「ＤＣＦ法の適用等」に関する問題となっています。
証券化対象不動産について、DCF法の適用により収益価格を求めるに当たっては、統一された収益費用項目に区分して鑑定評価報告書に記載しなければならない。
「DCF法の収益費用項目」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意ＤＣＦ法の適用により収益価格を求めるに当たっては、証券化対象不動産に係る収益又は費用の額につき、連続する複数の期間ごとに、次の表の項目（以下「収益費用項目」という。）に区分して鑑定評価報告書に記載しなければならない【816】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ：正
本肢は、総論第7章第2節「賃料を求める鑑定評価の手法」となっています。
建物の賃貸借に当たり、賃料とは別の共益費名目で金銭の徴収を行うケースがあるが、その一部が実質的に賃料を構成する場合がある。
「実質的に賃料に相当する部分」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意なお、慣行上、建物及びその敷地の一部の賃貸借に当たって、水道光熱費、清掃・衛生費、冷暖房費等がいわゆる付加使用料、共益費等の名目で支払われる場合もあるが、これらのうちには実質的に賃料に相当する部分が含まれている場合があることに留意する必要がある。【457】
例えば、賃上げができなかった場合に、共益費を上げることで実質的に賃上げを行っている場合があります。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ：正
本肢は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
対象不動産の純収益を求めるに際しては、収益費用項目の細部について過去の推移及び将来の動向を慎重に分析して求めるが、この場合において収益増加の見通しについては、特に予測の限界を見極めなければならない。
「収益変動予測の留意点」について述べられた選択肢である、基準には以下のように記載されています。
基準・留意それぞれの項目の細部について過去の推移及び将来の動向を慎重に分析して、対象不動産の純収益を適切に求めるべきである。この場合において収益増加の見通しについては、特に予測の限界を見極めなければならない。【407】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ホ：誤
本肢は、各論1章第2節「建物及びその敷地」に関する問題となっています。
借地権付建物における収益還元法の適用に際して、総費用の算定において土地及び建物に係る公租公課を計上した。
本肢は、「借地権付建物の費用項目」について述べられた選択肢です。
借地権付建物における総費用の算定では、土地を借りている借地権者が支払うお金を計上する必要があるため、借地権設定者が支払う土地に係る公租公課を計上せず、代わりに借地権設定者に払う地代を計上する必要があります。建物に係る公租公課は計上する必要があります。
従って、「土地に係る公租公課を計上した」とする本肢は誤りです。
