解答
解説
この問題は、各論第3章を中心に様々な範囲から問われている問題です。
(1)：誤
本肢は、各論第3章第4節「証券化対象不動産の個別的要因の調査等」に関する問題となっています。
証券化対象不動産の評価では通常エンジニアリング・レポート（ER）を活用しなければならないが、
この部分は正しい記載がされています。「ERの活用」について述べられており、基準には以下のように記載されています。
基準・留意証券化対象不動産の鑑定評価に当たっては、不動産鑑定士は、依頼者に対し当該鑑定評価に際し必要なエンジニアリング・レポートの提出を求め、その内容を分析・判断した上で、鑑定評価に活用しなければならない【797】
不動産鑑定評価基準には原則ERを必要としない例として対象不動産が更地である場合（建物を取り壊す予定である場合を含む）が挙げられている。
「ERの活用が困難な場合」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意エンジニアリング・レポートの提出がない場合又はその記載されている内容が不十分である場合として想定される場合を例示すれば、既に鑑定評価が行われたことがある証券化対象不動産の再評価をする場合、証券化対象不動産が更地である場合（建物を取り壊す予定である場合を含む。）等がある【798】
更地の場合等では、不動産鑑定士が調査を行うなどにより対応することもできるというだけで、原則ERは必要です。
従って、「原則必要としない」とする本肢は誤りです。
(2)：誤
本肢は、各論第1章第4節「特定価格を求める場合に適用する鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
証券化対象不動産が更地である場合（建物を取り壊す予定である場合を含む）、DCF法の適用に代えて開発法を適用することが有効である。
「証券化対象不動産の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意この場合は、基本的に収益還元法のうちＤＣＦ法により求めた試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を行い鑑定評価額を決定する【726】
従って、「DCF法に代えて開発法を適用する」としている本肢は誤りです。
(3)：誤
本肢は、各論第1章第1節「土地」に関する問題となっています。
証券化対象不動産の鑑定評価において建付地の正常価格を求める場合、更地としての価格と一致しなければならない。
「建付地の鑑定評価」について述べられた選択肢です。
建付地の価格は、建物が立っていることによる増減価が発生することがあるため、更地の価格と一致するとは限りません。証券化対象不動産の鑑定評価においても更地の価格と一致しなければならないという規定はありません。
従って、「更地の価格と一致しなければならない」とする本肢は誤りです。
(4)：誤
本肢は、留意事項の各論第3章「証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価について」に関する問題となっています。
証券化対象不動産が底地である場合、実地調査において対象不動産の上に存する建物の内覧を省略することはできない。
「内覧の省略の可否」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意同一の証券化対象不動産の再評価を行う場合における物的確認については、本留意事項Ⅵ３.（１）に定めるところにより、内覧の全部又は一部の実施について省略することができる【2522】
従って、「内覧を省略できない」とする本肢は誤りです。
(5)：正
本肢は、総論第7章第1節「価格を求める鑑定評価の手法」に関する問題となっています。
直接還元法の費用項目について、固定資産税、都市計画税について実際には各種軽減措置が講じられている場合があるが、それが永続するものでないこともあるため、土地の固定資産税に必ずしも最新年度の税金実額を計上するとは限らない。
「直接還元法の運営費用の計上」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意直接還元法における純収益は、対象不動産の初年度の純収益を採用する場合と標準化された純収益を採用する場合がある【406】
標準化された純収益を採用する場合、純収益の変動予測を反映させる必要があるため、固定資産税・都市計画税は必ずしも最新年度の実額を計上するとは限りません。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
