解答
解説
この問題は、総論第5章第3節「鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定」及び各論第3章の様々な範囲から問われている問題です。
イ：正
本肢は、各論第3章第1節「証券化対象不動産の鑑定評価の基本的姿勢」に関する問題となっています。
証券化対象不動産の範囲は各論第3章に定められているが、証券化対象不動産以外の不動産であっても一定の場合には、各論第3章の定めに準じて鑑定評価を行うことが求められている。
「証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合にあっても、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、この章の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない【771】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ロ：正
本肢は、各論第3章第4節「証券化対象不動産の個別的要因の調査等」に関する問題となっています。
エンジニアリング・レポートについては、その内容を鑑定評価に活用するか否かの判断及び根拠を鑑定評価報告書に記載しなければならない。各論第3章には、判断及び根拠に関して最低限記載しなければならない項目と内容が示されている。
「ERの活用の判断に関する記載事項」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意エンジニアリング・レポートの内容を鑑定評価に活用するか否かの検討に当たっては、その判断及び根拠について、鑑定評価報告書に記載しなければならない。この場合においては、少なくとも次の表の項目ごとに、それぞれ同表に掲げる内容を鑑定評価報告書に記載しなければならない【799】
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ハ：正
本肢は、総論第5章第3節「鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定」に関する問題となっています。
投資法人等が投資対象資産を取得する際の鑑定評価において、対象不動産の運用方法による使用が対象不動産の最有効使用と同じである場合には、当該鑑定評価額は正常価格である。
「求める価格の種類」について述べられた選択肢であり、留意事項には以下のように記載されています。
基準・留意投資対象資産としての不動産の取得時又は保有期間中の価格を求める鑑定評価については、上記鑑定評価目的の下で、資産流動化計画等により投資家に開示される対象不動産の運用方法を所与とするが、その運用方法による使用が対象不動産の最有効使用と異なることとなる場合には特定価格として求めなければならない【2112】
つまり、運用方法が対象不動産の最有効使用と同じである場合には正常価格として求める必要があるということです。
これは本肢の内容と合致しており、本肢の内容は正しいです。
ニ：誤
本肢は、総論第5章第3節「鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定」に関する問題となっています。
投資法人等が投資対象資産を譲渡するときに依頼される鑑定評価で求める価格は、特定価格として求めなければならない場合がある。
「投資対象資産の譲渡」について述べられた選択肢であり、基準には以下のように記載されています。
基準・留意投資法人等が投資対象資産を譲渡するときに依頼される鑑定評価で求める価格は正常価格として求めることに留意する必要がある【945】
従って、「特定価格として求めなければならない」とする本肢は誤りです。
ホ：誤
本肢は、総論第5章第3節「鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定」に関する問題となっています。
証券化対象不動産は運用計画を前提として運用されるので、対象不動産の現状の運用方法を最有効使用として判定する必要がある。
本肢は、「前提とする使用方法」について述べられた選択肢です。
最有効使用は不動産鑑定士が判定するため、運用方法を最有効使用となるとは限りません。
従って、「最有効使用として判定する必要がある」としている本肢は誤りです。
